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『SOGI』通信 No.50

 葬式の料金への不信が強い。これは今に限ったことではないが、しかし今の不信は今までの不信よりとはかなり強い。
 ある相談センターで聞いたが、見積もりを要求してきた客に3社の見積書を示したら、内容も確認せずに、もっとも低額なところを選ぶという。内容より「安けりゃいい」というのだ。

 2007年12月「第8回葬儀についてのアンケート調査」(日本消費者協会)のQ12「あなた自身はどんな葬儀が望ましいですか。2つ選んでください」の回答は、1位「費用をかけないでほしい」が64・1%で断然トップ、2位「家族だけでおくってほしい」が44%であった。
 Q13「葬儀について知りたいことは何ですか。3つ選んでください」の回答の1位は「葬儀費用について」で65・2%であった。ちなみに2位「準備しておくべきこと」47・7%、3位「葬儀の手順など一般的な常識」43・6%であった。

 一般に葬式未体験者に聞くと「葬儀料金は不明朗」とする回答が7割以上と圧倒するのが普通である。しかし、葬式体験者に聞くとその回答は変化する。
 07年日本消費者協会調査では「妥当だと思う」33・9%、「やむを得ない金額だと思う」21%、「思ったより安い」が7・1%で、62%が不満をもっていない。つまり葬式料金の妥当性は体験の有無で大きく異なる。

 今葬式に出る機会が激減している。かつては自宅で葬式をしていたので、地域の人は会葬するのがあたりまえであったし、高度経済成長以降に企業共同体の力が強くなると、上司、同僚、部下、取引先当人ではなく、その家族の葬式でも会葬していた。その結果が91年の平均会葬者数280人という数字である。

 だが今は地域、企業関係の会葬は激減している。05年の公正取引委員会調査で132人と半減したが、今はおそらく100人を割り、最も多いのは50人前後の葬式であると思われる。もちろん地域により異なるが、縮小化はいっそう進んでいる。

「単価が下がった」と葬祭事業関係者から言われている。しかし、経済産業省の特定サービス産業統計からはその減少は「極度」ではなく「なだらか」である。07年を100とすると、08年が99・8、09年が98・8である。10年の1〜5月では96・9である。07年が葬祭業者の売上平均が1件121万円程度であると、今は117万円程度である。しかし競争激化で事業者単位の売り上げは減少している。

 今最も非難を浴びているのは「お布施が高い」こと。
 上がった話もあるが「下がった」という話もある。仏式葬儀が9割を切った。それに檀家の高齢化、家族の縮小もあり、寺院総収入は極度に少なくなり、地方では寺院維持も困難さを増している。 一方、都会では寺院サポーターが減少し、その場限りの依頼者が増え、特にこうした「信仰」的ではない、「消費者」的な人たちが「高い」と不満を言う。寺院への「お布施」は、寺院維持費の「まとめ負担」的要素があったが、寺院維持をまったく考えていない「消費者」には、この続く不景気に「理解できない高額」としか受け取られない。この認識の格差は、寺のあり方を根本から考え直さないと、「布施」の解釈だけでは解決できない段階にきている。


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