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『SOGI』通信 No.38

 ついに、と言うべきか、葬儀の仏教離れが進行していることが、データでこのほど立証された。
 現場では、寺檀関係の弱まり、都市において決まった檀那寺をもたない人への葬祭業者による僧侶の斡旋、「お布施」の意味の形骸化と料金化…が語られ、「葬祭仏教」の危機が言われてきた。しかし、これまでのデータでは95%が仏教葬を選び、神道やキリスト教を加えれば98%が宗教儀礼として葬儀を行っていた。

 このたび07年12月、財団法人日本消費者協会が発表した第8回「葬儀についてのアンケート調査」報告書で、「葬儀の形式」について「仏式」が初めて9割を下回り89・5%となった。
 神式は3・2%、キリスト教式は1・7%であまり変化がない。「無宗教」との回答は3・4%あった。

 もちろん地方では依然として仏教葬が多いが、特に都市部では大きく減少している。埼玉、東京、神奈川のいわゆる首都圏では顕著である。仏式が82・8%、「無宗教」は7・8%を数えた。
「無宗教」というのは「特定の宗教宗派によらない葬式」ということで、決まった形式がない。とはいっても各葬祭業者のホームページを見ると、「無宗教葬」が一つの選択肢として提示されているケースが多い。
 仏式でも、白木祭壇を用いたものは明らかに減少しているようだ。首都圏では半分くらいにまでなった。

 かつては祭壇のカタログでは白木祭壇を掲載しているのが定番であったが、ここ5年くらいは生花祭壇も併せて掲載する葬祭業者が増えてきた。
 生花祭壇=無宗教葬ではないが、葬儀の定式化離れを意味することは確かである。葬儀の「自由化」を意味する。

 これまで葬儀と言えば仏教葬を意味することが多かったが、これが全国で9割を切り、大都市部では8割ラインに近づいているという事実は、今後大きく仏教離れが進むことを予測させる。

 首都圏等では5割近い人が檀那寺をもたない、ということは前から言われたことである。だが仏教葬が低下するまでにはなっていなかったのは、「仏教葬が当然」という暗黙の了解があったからである。檀那寺をもたない人は、葬儀となると葬祭業者に僧侶を依頼する。中にはきちんとした僧侶を紹介する葬祭業者もある。しかし、僧侶を紹介、リベートを要求する葬祭業者が現われ、いまでは紹介・派遣がシステム化され、プロダクションまで登場している。

 こうした形骸化が進めば、仏教葬が減少するのは不思議なことではない。
 これまで仏教界には、葬儀で仏式が選ばれるのは当然という雰囲気をがあり、それを当然とする態度が強かった。そのくせ葬儀に自覚的に取り組む僧侶が少なかった。最近、葬祭業者が僧侶への不満をこぼすことが多くなった。それは品性や自覚のない僧侶が多い、ということについてである。さらに遺族への配慮のなさについてである。

 仏教葬儀を軽視する葬祭業者が多いのも事実である。しかし、僧侶がきちんと葬儀に向き合わないと、消費者の仏教葬離れを押し留めることはできない。無宗教葬は増えるだろうが、それは遺族にとって必ずしもいいこととは言えない。




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