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Q25 火葬の期限は?

火葬をいつまでしなければいけない期限というのは決まっているのでしょうか。エンバーミングした場合でもいつかは火葬するのではと思います。(53歳女性)

A 法律的には、いつまで火葬をしなければいけないということは決まっていません。しかし、遺体に対する国民感情を考えると、常識的な期限はあると考えるべきでしょう。

 まず問題を整理しましょう。
 死亡すると、届出義務者は死亡の事実を知った日から7日以内(国外では3カ月以内)に死亡を届け出、その際には死亡診断書または死体検案書を添付すべきことは、戸籍法第86条に定められています。

 次に火葬についてですが、墓地、埋葬等に関する法律の第5条に、埋葬または火葬を行おうとする者は「市町村長の許可を受けなければならない」とあり、この許可を得るためには死亡届が受理されていることを条件としています。
 いま日本の火葬率は99%ですが、法律的には埋葬(墓埋法では「埋葬」は「死体を土中に葬ること」つまり土葬を意味します)も許されています。
 24時間以内の埋葬または火葬の禁止(感染症法等に定めのあるときは除く)は同法第3条に定められていますが、ここには「埋葬または火葬をしなければならない」とは書かれていません。但し、第9条に「死体の埋葬又は火葬を行う者がいないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない」とあるので、遺体は埋葬または火葬されるべきことが暗黙に了解されていると言えるでしょう。

 遺体の保存については、死体解剖保存法第17条に「医学に関する大学又は医療法の規定による総合病院の長は、医学の教育又は研究のため特に必要があるときは、遺族の承諾を得て、死体の全部又は一部を標本として保存できる」とあり、これは献体遺体等の解剖後の遺体についての特別規定です。
 こうした特例を除いて、長期に遺体を保存することは刑法190条の死体遺棄罪に該当する危惧が発生します。それは常識的には腐敗が進行して腐臭を発生させるまでと言えるでしょう。
 エンバーミングされた遺体は理論的には腐敗しないので、期限はないように思われますが、国民感情上無期限ということはありません。IFSAではその点を考慮し、自主基準で50日以内と制限をつけています。
 それは死者祭祀が充分に行われる期限ということで、四十九日の慣習等を考慮し、それを超えた保存は禁止しています。これは妥当な解釈であると思われます。

Q26 喪主・親族代表は男性?

葬儀の挨拶状を見ますと、喪主や親族代表は男性名が使われることが多いようですが、根拠はあるのでしょうか。(45歳女性)

A 確かに葬儀の挨拶状を見ると、喪主名や親族代表名が、多くの場合は男性名になっています。
 男性名になることが多いのは、戦前の男尊女卑の考え方が依然として世の中にはびこっていることを示しているのでしょう。
 しかし、死亡した者が男性で、その人が結婚しているときには、最近では喪主として妻の名前が記されることもよく見受けられます。これは戦後の家族の単位の基本が夫婦にあることへの理解が広がっていることでしょう。
 民法の相続でも配偶者には特別な位置を与えていることが関係しているのかもしれません。

  なお、喪主は法律的には祖先の祭祀を主宰する者にあたると解釈するのが妥当でしょう。この承継は「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」とされていますが、この慣習も戦後の男女平等思想の普及で変化しているとみるべきでしょう。
 また「被相続人の指定」があった場合には、それに優先します。つまり本人が喪主になってほしい人を生前に指定しておくことができます。

 実際には、まだまだ男性が女性に優先する慣習は根強く残っていることは確かなことです。しかも「冠婚葬祭」という人生儀礼の面では色濃いのが実状です。また、人前で名が出る、挨拶するとなると男性が無難とされることが少なくありません。
 しかし、10年後にはこうした質問自体が出ない、男女が社会的に平等な社会になるといいなと思います。
 
Q27 焼香の際の挨拶はいつ?

お葬式にあまり出たことがないので焼香の作法がよくわかりません。ご遺族に挨拶するのは焼香の前ですか、後ですか。(32歳女性)

A 次のような場面を想像してみてください。恩師が亡くなり、ご自宅に弔問にうかがい、ご遺体と対面してお別れをすることになりました。どうするでしょうか。
 まずご遺族に一礼して「失礼いたします」と言ってご遺体の前に進み、恩師のお顔をゆっくり見て、合掌し、深く礼拝し、下がってご遺族に「お別れさせていただき、ありがとうございました」と一礼するというのが自然でしょう。
 お葬式の焼香というのは、これと同じで、亡くなった方とのお別れです。丁寧に行おうとするならば、まずご遺族に一礼し、祭壇の前に進み、焼香します。その後、合掌し、深く礼拝し、下がってご遺族に一礼します。
 このように丁寧に行おうとするならば焼香の前後に2回ご遺族に礼をします。

 しかし、お葬式の焼香の場面では多数の方が焼香します。ご遺族はその度に挨拶を2回ずつするのではたいへんです。そうでなくとも精神的に打撃を受けてたいへんなわけですから、そのご遺族の身になるということも大切なことです。
 そこで最初のご遺族への礼は省略し、祭壇の前に進み、焼香をし、ゆっくりと深く合掌礼拝します。終えてから、ご遺族の方へ向かって一礼して下がります。

 焼香は宗派により回数が異なったりしますが、お葬式のときは心を込めて1回でいいでしょう。
 香を額にいただくかはこれも宗派により異なります。浄土真宗の場合には自分を浄めるということで香をいただくことはしません。他の宗派はいただきます。これは相手の宗派に合わせるというよりもご自分の宗旨に合わせて行ってかまいません。
 作法はわかっているにこしたことはありませんが、大切なことは、その場がご自分と亡くなった方との一対一のお別れの場であるということです。心を込めてお別れしましょう。

Q28 「葬式無用」という遺言だが…

父はいま入院中でもう長くないと医師にも言われています。父は「死んでも葬式しなくてよい。火葬だけでよい」と言っています。子どもとして耐えられません。父の意思は守らなくてはいけないのでしょうか。(52歳女性)

A お葬式には2つの面があると思います。一つは亡くなった本人が遺る人へお別れするという面であり、もう一つは遺された者が死者にお別れするという面です。前者を「死者のため」、後者を「遺された者のため」、あるいは前者を「死者の意思により」、後者を「遺された者の意思により」と言うことができるでしょう。そしてこの2つの面が分かち難くあるのがお葬式です。
 本人と遺族の意思が合致していれば問題はありません。本人が「葬式無用」と言い、遺族も葬式するよりも家族だけで静かに送ってあげたいと思うならば、周囲がどう言おうと問題ありません。

 しかし、本人は「葬式無用」と思っても、遺族が「しのびないからきちんと葬式して丁寧に送ってあげたい」と意思が食い違うこともあります。
 法律では、たとえ遺言で葬式のことについて意思表示していても遺族にその意思を尊重する義務はないとしています。どうしても、という場合には、祭祀主宰者に遺族以外の第三者を指定し、その人に死後事務を委任する契約を結んでおけば、本人は意思を貫くことはできます。しかし、通常の家族関係であれば、そこまですることが家族関係を破壊することになりかねません。

 最もいいのは、生前に家族でよく話し合って、方法についてお互いに合意しておくことです。それがどのような形であれ、本人の意思と送る者の意思とが合致して行われるのが「いい葬式」であるからです。
 不幸にもそういう話し合いの機会を得ず、また充分に意思を統一しておかなかったときは、本人の意思をできるだけ尊重しつつも、遺族の意思で葬式のありようを決定せざるを得ません。
 この場合、本人の意思が「葬式無用」なのですから、葬式があまり派手に大げさにならないようには注意すべきでしょう。



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