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Q13 妻に財産を全て相続させたい

 私たち夫婦には子どもがいません。今住んでいる家以外にこれといった財産はありません。妹がいますが疎遠です。私が死ぬと4分の1は妹にいくとなると妻は家を売り払わなくてはなりません。妻に全財産を相続させたいのですが。(75歳男性)

A 法定相続の場合、相続人が(1)配偶者と子のときは配偶者2分の1、子が2分の1、(2)配偶者と親のときは配偶者3分の2、親3分の1、(3)配偶者ときょうだいのときは配偶者4分の3、きょうだい4分の1となっています。
 ここでは(3)のケースにあたり、何もなければ、あなたの遺産を、奥様が4分の3、妹さんが4分の1相続することになります。

 但し、あなたが遺言を作り、全財産を妻に相続させるとすれば、妹さんの相続分はなく、奥様が全て相続できます。
 遺言で指定されても法定相続分の2分の1を確保できる「遺留分」というのがありますが、それは相続人が配偶者、子、親のときにだけ認められており、きょうだいには遺留分が認められていません。(但し、相続人が親のみのときは3分の1)

 遺言には一般に自筆証書遺言と公正証書遺言とがあります。自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受ける必要があること、書式等で無効になることがあること、信用性等で疑義が出ること等がありますので、公正証書にしておくと、後々の紛争を防ぐことができます。
 公正証書は各地の公証役場で作ってもらいます。相談は無料ですから、まずお近くの公証役場にご相談ください。

Q14 自分がボケた後が心配

 私は5年前に夫を亡くし、アパートを経営しながら一人暮らしをしています。2人の男の子はそれぞれ別の地で家庭をもっています。最近物忘れも多くなり、この後ボケてしまったらと心配です。子どもたちには迷惑をかけたくありません。(78歳女性)

A 任意後見という制度があります。これをご利用なさったらいかがでしょうか。
 任意後見制度は、本人が判断能力が充分なとき、将来の判断能力の低下に備えて、本人が後見人を選定し、本人の希望する支援内容を定めて公正証書で契約を結んでおく制度です。
 あなたが万一にボケてしまったとき、あなたに代わってアパートの管理をしたり、その収入で老人施設に入る、あるいは社会福祉士に自宅で介助してもらいながら生活する、ということをあなたの意思で決めておくことができます。

後見人もあなたが決めておくことができます。もし適当な人が身の回りにいないときには、法律・財産管理のことは司法書士会のリーガルサポートに、身上監護のことでしたら社会福祉士の「ぱあとなあ」に後見人候補を依頼することができます。
・リーガルサポート(司法書士)
 電話03−5275−3694
・ぱあとなあ(社会福祉士)
 電話03−3353−8191

 予め、任意後見の契約を行い、法務局に登記しておきますと、いざあなたがボケたりして判断能力が充分でなくなったときに、その程度に合わせて、あなたが今の段階で希望した支援を受けることができます。
 また、後見人があなたの意思どおおりに正しく支援しているかどうかは、家庭裁判所が定める任意後見監督人が監督してくれます。

 任意後見に必要な費用は次のようになっています。
(1)契約に必要な経費
 公正証書作成手数料1万1千円、登記嘱託手数料一四〇〇円、登記印紙料4千円、その他証紙代など約6千円
(2)報酬(月)
 任意後見人の報酬は定まっていないが2〜3万円が目安。任意後見監督人の報酬は家庭裁判所で決めるが任意後見人の報酬を上回ることはない。
 また、葬儀など死後のことについては、委託したい人と希望する内容と支払い方法を別に契約を結び公正証書にしておくとよいでしょう。死後のことに関する契約は「生前契約」と一般に言います。

Q15 叔母は実家の墓に入れない?

シングルを貫いた叔母(父の姉)のお墓のことです。祖母が亡くなったとき、きょうだいでお金を出し合って実家のお墓を作ったのですが、いまお墓を守っている従兄(父の兄の長男)が「叔母さんは墓に入れない」と言ってきてガッカリしています。(42歳女性)

A 叔母さんからすれば、実家のお墓を作ったときに、自分もお金を出したから当然にも実家のお墓に入る権利があるとお思いでしょう。
 私もあなたの従兄の方が気持ちよく叔母様が実家のお墓に入るのを了解されるのがいちばんいい解決方法だろうと思います。話し合ってそういう解決になることを願っています。

 しかし、従兄の方がどうしても了解されない場合、そのままでは叔母様は実家の墓に入ることができません。現在、お墓の使用者は従兄の方になっていると思われます。使用権がその方にあるので、その使用権をもっている方の承認なしには、誰であってもそのお墓に入ることはできません。
 そもそもお墓というのは民法でいう「祭祀財産」です。祭祀財産の管理者(祭祀主宰者)は通常一人です。
おそらくお祖母様のお墓を作られたとき、お金は皆で出されても、長兄の方の名義にされたのでしょう。その段階で長兄の方が祭祀主宰者となり、長兄の方が亡くなった後、従兄の方が祭祀主宰者の地位を承継されたのでしょう。ですから実家のお墓については、いま従兄の方に権利があるのです。

 従兄の方の権利を制限するには、長兄の方が、存命中に叔母様のお墓の使用について公正証書を作っておく必要がありました。長兄の方が妹である叔母様がお墓に入ることを承認した公正証書があれば、いくら従兄の方が後から「入れない」と主張しても、叔母様は実家のお墓に入る権利があります。
 では、叔母様は従兄の方が反対される限り、絶対に実家の墓に入れないかと言えばそうではありません。法律的に争う余地はあるでしょう。お祖母様が亡くなってお墓を作るとき叔母様が資金を負担したということは、叔母様は当然にも自分も死後入ることを前提としており、当時、お墓の祭祀主宰者であった長兄の方も了解済みだったと理解することも可能だからです。裁判に持ち込む場合は叔母様が請求人になります。

Q16 死者を忘れることが供養?

 息子が死んで1年になります。まだ何をする気にもなれず、息子のことを考えると涙がとまりません。先日、ご住職から「親が嘆けば嘆くほど息子さんの罪は重くなり、成仏できません。忘れてあげなさい。忘れてあげることがいちばんの供養ですよ」と言われました。(62歳女性)

A 高名な仏教学者が「仏教の基本的な考え方は、死者について忘れなさいというものですから、私たちが死者を忘れることによって死者は浮かばれるのだと思います」と書いているのを読んだことがあります。
 それを読んだ私の感想は、この学者は仏教についての学問的知識はあるかもしれないが、人間を深いところでは理解できていないな、というものでした。
 子どもをなくした親がそのことを忘れろと言われて忘れられるものではありません。忘れるということは心の中から排除しようとすることですから、それは心をむしろ傷つける方向に働きます。

仏教の専門家ではありませんから、仏教の教理に立って反論はできませんが、これが仏教の基本的な考え方であるはずがないと思います。
むしろ死者を忘れ、悲しむことをやめるのではなく、悲しむことを大切にすることです。あなたが嘆き悲しむのは、お子さんがそれだけあなたにとって大切な存在だったという愛の証なのです。一周忌を迎えてもあなたが何をする気もおきないのは、それだけ息子さんの喪失が大きかったということなのです。早く立ち直ろうとしなくていいのです。

供養するということは、死者を忘れることではなく、亡くなった方が大切な存在であることを自分の中で確認することだと思うのです。
僧侶で詩人の福島泰樹さんが「人は死んだらどこへゆくのか」と自問し、「そうだ、人は死んだら『ひと』の心の中へ行くのです」と書いています。この言葉は深い意味をもっていると思います。心の中にしっかりと死者を刻み込むこと、これがいま大切なことではないでしょうか。



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