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 いのちがなくなること。古代の日本人は身体から霊魂が遊離してしまうことを死と理解した。
 現代の人間の死は医師が判定するとされている。医学的な死とは、細胞にいたるまでの死ではなく、有機的全体としての個体として生命活動がやんだと判断されることを言う。

 現在は心臓死と脳死の2種類による判定がある。
 心臓死は、(1)呼吸の停止、(2)心拍(しんぱく)停止、(3)瞳孔(どうこう)散大・対光反射消失、の3点の不可逆的停止を判断して死亡を判定する。「不可逆的」とは元に戻ることがない、という意味で蘇生(そせい)の可能性がないということ。

 脳死は、脳の機能が失われたことをもって判定される死である。臓器移植カードなどで本人が脳死判定に同意し、家族も同意した場合に行われる。従来は脳死と心臓死の時間的差はあまり問題ではなかったが、医療技術の進歩により人工呼吸器(レシピレータ)が開発され、脳死に至っても心臓は動き血流が身体を回るという現象が生じた。脳死に至ると人工呼吸器をつけても通常で1週間程度、長くても1カ月程度で心臓死に至るとされる。

 2つの死の概念が出て、どれをもって個体の死とするべきか議論がある。
 延命治療の是非については本人意思、家族の意思の確認が求められる。
 病死等の自然死の場合には医師が判定し死亡診断書を発行。犯罪死、事故死、突然死の場合は警察の検視を経て、警察医が死体検案書を発行。犯罪の惧れがあるときは司法解剖、死因不明のときには行政解剖を受ける。病院で研究のために解剖を希望されることがあるが、これは病理解剖で遺族の承諾が必要。

 死亡時刻を機に本人の財産は遺産となり、遺産相続が決定するまで銀行預金等の処分が凍結される。死亡届は、国内死は死亡の事実を知った日から7日以内(国外死は3カ月以内)に市区町村役所へ提出、火葬許可証を発行してもらう。

自宅死
 自宅での死亡が減少し、病院での死亡が一般的となっている。
 その推移を見ると、1952年には自宅死は82.5%あったが、73年には50.2%となり、2004年には12.4%にまで減少した。
 自宅での家族による看取りが少なくなり、生活の場から死が切り離される傾向にある。
 今後は介護保険による在宅介護、在宅ホスピスの普及により自宅死も見直される可能性もある。

死後の処置
 医師による死の判定直後に行われる遺体に対する清浄、傷口などの処置、衛生的処置、着替え、死化粧などを言う。「清拭(せいしき)」とも言われ、現在では病院死が多いことから、看護師など医療関係者の手で行われることが多い。近年では「エンゼルケア」とも言われることがある。

 在宅死の場合には訪問看護師あるいは葬祭従事者が行う。
 葬祭従事者が行うものは「納棺」と言われ、遺体に清拭を施し、死装束に着替えさせ、死化粧を施す。
「湯灌(ゆかん)」とは現代では遺体を浴槽に入れシャワー洗浄するものを言う。

エンバーミング
 日本語で「遺体衛生保全」と訳される。遺体を消毒・防腐・化粧・修復する処置。
 胸部または大腿部の動脈を小切開し、防腐剤を注入し血液を静脈から排出する。腹部も小切開し、ガスや腸の内容物を排出し、防腐剤を注入する。目や頬、傷口を修復する。半永久的保存も可能。2時間程度の簡易処置でも処置後14日間程度は腐敗などの遺体変化が生じない。

 エンバーミングは遺族が自筆で依頼書を提出する必要がある。
 エンバーミングは、北米では遺体の9割に処置される。日本では1988年に導入され、現在25カ所で実施し、年間1万4千体。
 遺体の海外移送にはエンバーミングを義務づける国が多い。
 2004年から日本でも民間団体であるIFSA(日本遺体衛生保全協会)が技術者エンバーマーの養成、資格制度を開始した。
 医科大学解剖学教室における献体遺体の保存においてもこの手法は用いられている。

献体
 医学部や歯学部の学生の教育のために行われる解剖実習に遺体を供することを無償で行うこと。生前に自分の意思で家族の同意を得て大学に登録しておく。
 献体遺体に対する解剖を「正常解剖」と言う。解剖実習後は大学の責任で火葬され、遺骨は家族に返還されるが、引き取り手のいない遺骨は大学の責任で合祀(ごうし)墓に納められる。

斎場
 葬儀をする場所のこと。昔は臨時に設営されたが、現在では常設の建物の斎場(葬儀会館)が現れている。
 2005年現在、斎場(葬儀会館)で行われる葬儀は69.4%となっている。
 葬儀は一般的には自宅で行われることが多かったが、90年代以降に全国各地で葬祭事業者による斎場建設が進み、今や斎場葬が主流となった。2000年以降、病院からの遺体の自宅への搬送・安置することが急激に減少し、斎場(会館)や遺体保冷施設へ病院から直行することが主流となっている。  火葬場のことを「斎場」とも言うが、これは火葬場に式場を併設した以降の戦後の用法。

祭壇
 告別式用の装飾壇のこと。昭和の前期に大都市で現れ、60年代に全国で用いられるようになった。仏式で主として使用される上部が宮型、寺院建築風の装飾物は昔の葬列で用いた輿(こし・柩を運ぶ道具)が変形したもの。
 現在では葬儀式の法要・礼拝のための装置という意味と死者を弔うための表現装置という意味があり、後者の比重が大きくなっている。
 現在では生花祭壇が隆盛となり、中には祭壇抜きの葬儀もある。葬儀が個性化するなかで大きく変容している。

葬儀
 葬送儀礼の略。死後の通夜・葬儀・火葬から喪と続く一連の死者を弔い、葬るための儀礼を言う。「葬式」とも言う。
 葬儀式(死者を送るために行われる主として宗教儀礼)と告別式(死者に別れを告げる社会儀礼)とが並行して行われる葬儀・告別式方式が主流であったが、近年は通夜への会葬者が多くなり、通夜・告別式方式が主流となってきている。しかし、通夜の社会儀礼化には遺族の死者との別れの時間を奪うという危惧もある。
 東北地方等、葬儀式に先立って火葬を行う骨葬方式もある。

家族葬
 家族中心に営まれる葬式のこと。
 日本のこれまでの葬式は地域共同体や勤務先等のコミュニティ中心で、対社会的に営まれてきた。これに対して近親者だけで、社会に閉じられて営まれる葬式を「密葬」と言った。
 95年以降、密葬に代わり「家族葬」という用語が登場、2000年以降に全国的に市民権を獲得してきた。

 家族葬にも幅があり、家族数人だけによるものから、家族・親戚による30人内外のもの、それに友人・知人を加えた50〜60人前後のものまである。死者本人をよく知る者を中心としたこぢんまりとした葬儀を呼ぶ。
 葬儀は92年のバブル景気崩壊後、個人化、小型化の傾向を示している。90年頃の会葬者数の平均は280人程度であったが05年には132人まで減少している。

無宗教葬(自由葬)
 葬儀は仏式というイメージが固定しているが、まだ少数ではあるが特定の宗教宗派によらない無宗教葬も現れ、都市部を中心に注目を浴びている。
 特に団塊以降の世代では自分の葬儀は無宗教葬で、という希望が多い。
 無宗教葬は「自由葬」とも呼ばれる。音楽を中心にした音楽葬も人気である。
 無宗教葬は、故人らしさを表現するには適していると評価される一方、無宗教葬をした場合に心理的なけじめがつけにくい、葬儀がイベント化するという批判もある。

お別れ会
「お別れの会」とも言う。近年現れたもので歴史的には告別式の独立形態。葬儀後に2〜6週間程度経過後に関係者や知人などが集まり追悼の会をもつこと。
 この場合、死亡直後の葬儀は皆に告知しないで近親者だけで行うケースが多い。軽食をとりながらの会であることも。
「偲ぶ会」などの名称が使われることもある。

直葬(ちょくそう)
 葬式をしないで火葬のみをすること。但し、火葬場で読経してもらうケースはある。これを荼毘(だび)式、窯前(かままえ)などと称することもある。

霊柩車
 遺体を運ぶことを専用にした自動車のこと。
 病院から自宅への搬送に主として使用されるバン型車(通称「寝台車」)、式場から火葬場への搬送に用いられることを主とした用途の装飾を施した特殊仕様車である宮型と洋型、それにマイクロバスタイプで人が同乗するバス型とがある。
 かつては霊柩車=宮型霊柩車というイメージが強かったが、昭和天皇の葬儀で洋型霊柩車が用いられて人気となった。
 近年では火葬場送りへもバン型車が使われる等の変化が見られる。

火葬
 死体を火で焼き、骨にすること。
 日本は火葬率が99%で世界一である。世界的には火葬率が上昇傾向にあるが、まだ土葬が主流である。
 日本の火葬は欧米と異なり、きれいに遺骨の形状が残るよう工夫される。
 火葬には自治体の発行する火葬許可証が必要。
 火葬後に骨を拾い骨壺または骨箱に納めることを拾骨(収骨、骨上げ)と言う。
 火葬後に、火葬許可証は火葬済の証印を押して返却されるが、これは納骨時に墓地または納骨堂の管理者に提出する。
 遺体を火葬する施設である火葬場は、東京などには民営火葬場もあるが、全国的には地方自治体が経営するものが多い。
 1体火葬するコストは約6万円。

グリーフ
 英語で「死別の悲嘆」のことを言う。
 死別を体験した遺族は、悲嘆に陥り、場合によりショックを受け無反応になったり、怒りが他者や自分に向けられたり、抑鬱状態に陥ったりする。これは極めて自然で人間的な感情である。
 グリーフは、死亡直後の1年以内に強く現れるが、子どもを亡くした場合等には4〜5年続くこともある。
 グリーフは抑制するのではなく、表出することが望ましい。
 遺族が営む喪の作業を「グリーフワーク」と言う。葬式という外面的な行事の裏にある遺族の心理的な側面であるグリーフに対する配慮が求められている。

仏壇
 主として家庭内にあって仏や死者を供養する壇のことを言う。
 江戸中期の寺檀制度の確立以降に普及したと言われ、寺の仏堂を模した形が多い。
 金仏壇と唐木(からき)仏壇があるが、90年代以降に洋式リビングに合わせたモダンな家具調タイプも登場した。
 死者と遺族が一対一で向き合う仏壇は遺族のグリーフワークに効果があると再評価されている。

手元供養
 主として2000年以降に登場した供養の新しい形。遺骨の一部を地蔵タイプの小型の人形等に埋め込んだり、遺骨の一部を加工してペンダント等にしたりして、遺族の机上に置いたり、持ち運んだりできる、いわば仏壇の携帯可能な可動型小型版。
 死者を常に手近に感じていたいとする人々に人気を博している。


 死体または火葬後の焼骨を収めるところ。墓地と納骨堂がある。
 墓地には一基ずつ独立した形態の墓所と共同で使用する形態の墓所とがある。
 納骨堂は複数の焼骨を預かる施設のこと。
 墓地と納骨堂の見分け方は、屋外の施設が墓地、屋内の施設が納骨堂。
 
墓地には地方自治体の経営する公営墓地、民間の事業者(財団法人、宗教法人)が経営する民営墓地、寺院が檀家に供する寺院境内墓地の3種類がある。
 墓の形態は、江戸時代は個人墓、明治末期以降は家単位の家墓が多かったが、近年は変化が見られる。
 墓石も和型の三段墓が多かったが最近は洋型も多い。
 刻印する文字も単独の家名に加えて実家と婚家の家名を彫る「両家墓」や家名を彫らず「偲」「夢」等の文字を彫る「無家名墓」も見られる。

永代供養墓(えいたいくようぼ)
 墓が存続するには承継者が必要だが、承継者がいなくても存続する墓のことを言う。
 共同墓形態が多い。仏教寺院により80年代の後半から始まり普及。
 公営が経営する承継者不要の墓を「合葬(がっそう)式墓地」と言う。

散骨(自然葬)
 遺骨を細かく砕き、これを墓地以外の山や海に撒く葬法のこと。
「葬送を目的として相当の節度をもって行うならば違法ではない」という法解釈が有力。
「葬送を目的として」は「遺骨遺棄を目的としないで」という意味。
 また「相当の節度をもって」とは、遺骨に対しての人々の意識(恐怖、嫌悪、尊重)などを考慮して「周辺の人々が嫌がる場所にはしない」ことと、原形を残さないように2ミリ以下程度に粉砕すること、が必要と考えられる。
 葬送の自由をすすめる会が自然との共生を掲げ行う散骨のことを「自然葬」と言う。

樹木葬(じゅもくそう)
 99年の岩手県一関市祥雲寺が最初。雑木林の保護を目的として、雑木林全体を墓地として許可を得て始めた。墓石や納骨室などの人工物は一切用いないで、直接地面を掘り、遺骨を埋め、その後、土を被せ、埋骨位置にヤマツツジなどの花木を植える。
 2005年には東京都町田市に、墓地内の桜の木の下に遺骨を埋蔵する都市型樹木葬である「桜葬」も登場。した。

生前契約
 葬儀あるいは死後の処置について本人が予め内容を定め、支払い方法を定め、事業者と契約しておくこと。
 一方、本人が生前に葬儀を依頼することを事業者に申し出ておくのが生前予約。事業者の提供する会員システムなどに入会する形を取るが法的拘束力はない。

エンディングノート
「遺言ノート」とも言う。
「遺言」は法律的な文書で主として死後の財産について定めるもので葬式の希望等には法的拘束力がない。
 エンディングノートは、法的な拘束力は弱いものの、自分の臨終における尊厳死の選択、葬儀についての希望、残される家族へ贈る言葉、自分史、葬式の案内をする親戚・友人の名簿、書類の保管場所、家系図等を記して、残す遺族へのメッセージ、覚書を記すもの。




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